※ヒューマンドキュメントストーリー【14】

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※A Certain Human Story  『 That time Those days 』

Part 6、 《  弥  生  》  ・・失意の果ての歓こび・  (1) 


気づくのが、遅かった・・
生涯を賭けてでも、奪い
うったえつづけなければならなかった、
克美への、熱く燃えたぎった想い
年下の娘だと、楽観してた
毎日あたりまえのように、考えもせず過ごしてた
突然、目の前から居なくなって
やっと、自分のこころがわかった・・
想像もしなかった、衝動的な克美の行動
ある日から、来なくなり
黙ったまま
誰にも、何も言わず
急に、退社し
姿を、消した・・
日に日に、悔いと未練が募っていった
可愛い、妹のような感情だと
錯覚して、た・・
どんかんで愚かな自分を嘆き、情けなくて泣くにも泣けず
目の前が真っ暗になり、頭の中が空っぽになった
何も手が付かないほど、激しく心も動揺した
思いっきり、ハンマーで殴られたように
無意識の内に抱いていた、ホントの気持ちにやっと目覚めた
生まれて始めて味わった
狂うほどの切なさと、侘しさ・・
過ぎ去りし日の
何気ないあんなこと、こんなこと・・
思い出が、寝ても覚めても心を締め付け遮ぎった
自分のすべてと
人生を捧げ
命を捨てていいほど
心が燃えていた、熱い恋ごころ
居なくなって、はじめてしらされた
当事者の自分が呆れるほど、哀れで情けなかった
いつもいつも
空気のように
必ず、傍に居たのに
気がつけば、一番大切な克美が身の回りにいない・・

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いつの間に、こんなに身も心も占領されていたのだろう
夢だ! これは夢なんだ!
とどかない儚ない喚めきと、叫びがつづく
鈍感な神経さを、恨み
今更ながら、克美のいなくなった現実に打ちのめされた
毎日まいにち
幻を追う、夢遊病者のように
噂や匂いのする、知らない遠くの街を彷徨い
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狂ったように、探しあぐねてた、、、
世の中は、無情で非情だ
心の行き違いで、間に合わなかった
すべてが、手遅れだった・・
心を支えてくれていたものが、なくなった、、、
魂しいの、抜け殻になり
生きているのに
情熱の灯火が、消え
死んだように、塞いでた
心身のエネルギーが燃えつき
気力も希望も、遥か彼方へと見事なほどに吹っ飛んだ

1968年(昭和43年)・・ 1967年末(昭和42年末)

・・虚しく破れた
どうにでも、なれ・・
どうでも、いい・・
やけくその、傷心の気持ちから
ふとした流れで決めた
千恵子との結婚話も、母の猛反対で、あきらめ自から消し捨てた

待っていたかのように
数年間馴染んでいた、伝導部品内製品検査の職場担当から、新たに設けられた車体部品外製品の受け入れ検査職場を担当するようになった
この時期、付加価値生産性の低かった
旋盤、フライス、ボール盤などの工法の
今までの内製加工の
伝導や車体部品加工選定対象ラインが
長期マスタープランに基づき
ライン単位で、ごっそりと
富山県の入善町に立ち上げられた新規子会社「和新精密K・K」に
五月雨方式で、工程移管されていた
熱処理や大型、小型プレスの、新たな高速自動機械設備導入による生産性の高い部品ラインが内製の主流を担うようになっていった

富山県の入善町は
県の一番東に位置する、西は黒部川、南は朝日岳を望み、
北には、富山湾をいだく
新潟県が直ぐそこになる、酒も米も魚も非常に美味しい町だ
が、所詮日本海富山湾に面した寒冷地だ

工程が移管され、物づくりが行われる限り
品質管理と確認、合否判別の
ノウハウやドキュメントも、委託し
自立して、管理してもらわなければならない
当然ながら、現地での品質確認と
マンツーマンによる教え込みのための、指導が必要になった
班のグループメンバーは、若年層ばかりの若い集団だった
ちょっとした歓送迎会や座談会は
工場を挟んで、道路の向こうにある
系列の『みつばストアー』の二階の大ホールか
ゴルフ場の隣にある、『緑風荘』で行っていた
みつばストアーで、飲み物や食べ物が調達でき
親切丁寧に用意までしてくれるので、楽に安上がりで行えた

そんな時、年配の神谷さんが途中入職で入ってきた
見も知らぬ他県で長期滞在し、指導者として教え込みができる人材を選ばなくてはならない
中途入社で入ってきた三十代半ばの工場の、近くの家から通う神谷さんを適任者として選んだ
神谷さんは色白で、芯が強く忠実で真面目一本の仕事人間タイプだ
早速カリキュラムを組み、指導者としての育成を計画スケジュールに基づき実施した
驚くほど覚えも早く、期待以上の成長とマスターをしてくれた
富山との月単位の行ったり来たりを繰り返しながら、該当のスキルアップを果たし仕事のバトンをした
移管ラインで働いていたものの中には
菅野さん夫婦や磯村さん岩島さんなど
そのまま現地に転籍し、富山県に住み着いた者も数多くいた

見も知らない地域での新規一転の人生
勝也もそんな魅力に引かれ
気持ちが揺らぎ、選択を迷い悩んだことも事実だった
この時、手を挙げ
富山県に住み着いた道を歩んでいたらどんな人生が待っていたのだろう
当初目指していた公認会計士への道も遠のいた気持ちになり、大学にもいかず休んだままの日々がつづいていた、、、

・・真冬の晴れ渡った日、丹羽智さんから見合いがてらで二週間ほど前に北川新の喫茶店フラワーで、一度だけ合ったきりの女性から
「もう一度会いたい」と何度も言って来てると告げられ「返事に困っている」と言われた
勝也には、微塵も関心がなかったが、
世話をしてもらった都合上、渋々もう一度だけ会うことにした

2月26日の月曜日
新川町駅前の、パチンコ屋クロバーとイッチャンの隣にある
道路の角の、外観の構へが和風作りの
喫茶店 『 一 力 』 で、
仕事帰りの、夜7時半に会う約束をした
冷え切った、寒い冬の夜だった
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駅から出てオーバーに身を包み、100mほどの待ち合わせた喫茶店に行った
薄暗い灯りの店内を、隅なく見渡した
・・一力は本来
隠れた青線の店で、奥の部屋は、男と女が色事をする場所だったような記憶がある
大人の人たちが、性の欲求の吐け口としてコソコソと忍んで遊ぶところだ
今では喫茶店になっているが
そんなイメージが、この店にはこびりついていた
中学一年の夏休みのころ
斜め真向かいの酒屋『 カタ屋 』で
父に紹介してもらい、一ヶ月ほど店内清掃と酒のビンやケースの荷運などのアルバイトをしていた
1才年下になる、可愛い女の子がいた
後に踏切事故で亡くなった、優しいおじいさんもいた
映画館が出来た浜劇の隣に『 サ ン ト ス 』という洒落たバーも数年後に出していた
カタ屋の近くの『洋品店 モチヤ』の倅の、小島完司くんは同級生だ
コップ酒を飲むお客たちが
夕方近くになると、テレビに写る相撲中継の栃錦と若乃花の取り組みにくいり、絶大な人気をほこっていた

そのころの懐かしさが、一瞬、脳裏をよぎった
我にかえって、一力の店内に
それらしき人物は、居なかった
約束の時間は、とうに過ぎているのに
裏切られた思いに、やや頭にきながら、帰路につき歩きだした

だが、どうしても気になり
引き返しもう一度店内を覗いてみた
既に約束の時間から、30分も廻っていた
居るはずがない思いで、薄暗い店内を見渡した
ふと、店内の一段下がったコーナーの席に、女性が一人後ろ向きに座っている

近づいて、顔を見た
似た面影はあるが、違った人に思えた
去ろうとしたとき、その女性から声をかけられた
振り返ってよく顔を眺めて見ると、微かに似た面差しがあった
間違いなく、前に会ったその娘だった
気がつかないのも、無理はない
以前のイメージとは、まるで違って別人に見えた

「こんばんわ」  
「さっき いっぺん寄ったけど いつからおったぁ?」
「30分くらい前から」
「ふんとー ぜんぜんわかやひんかった」
「この前とぜんぜん違う人にみえるもん なんでかなー」
「いっぺん おやひんと思って帰っちゃったけんど 」
「気になったもんで まっぺん戻って来ちゃったんだ」
「俺が覗いたこと わかやひんかったー?」
うんと首を縦に振った
どうやら、後ろも見ず下を向いていたらしい
「ほんじゃ だいぶん待っちゃったねー」
恥じらいで
「ううん そんなことないわ」と、うなずいていた
「俺がもし戻って来やひんかったらパーだったね」
「この前と髪の毛の感じがだいぶ違うじゃん なんでぇ?」
「これ ヘヤーピース付けてるの」
「なんだぁ ほんでかー 」
「髪の毛がえらい長いもんで違う人だと思っちゃったよ」
「ほんでも ほんなん変わっちゃうもんかやー」
今日の彼女は先日会った時とは打って変わり、勝也好みの女に変貌を遂げていた
先日とは異なり互いに話しが弾んだ
彼女の家の住所と電話番号を聞いて控えた

・・この頃は、まだまだ一般家庭に電話は殆ど設置されていなかった
電話があるのは、自営業者か相当な有力者の金持ちの家だけだった
この地方で、電化製品やライフラインやガスなどで一番先に一般家庭に普及しはじめたのは、蛍光灯(昭和32年)ミシン(昭和33年)水道(昭和33年)テレビ(昭和33年)洗濯機(昭和34年)ガスコンロ、ガス釜(昭和38年)冷蔵庫(昭和39年)ステレオ(昭和39年)電話(昭和43年)の順だった
昭和33年ころまでは、道路脇の土を掘っただけの溝には、雨が降ればいたるところに亀がいた
川や海で魚を釣る餌として、ミミズもいた
蓄音機から聞くレコードやラジオからしか流れなかった歌謡曲や音楽、落語、浪花節などなど・・・
歌も映画も芸能スターも身に着ける洋服やファッションや靴、雑誌や家に敷いたり飾ったり置くものすべてが・・・
何もかもが、めまぐるしい勢いで30年代から40年代にかけ、生活環境が変わっていった
それまでは、夕方になると
食事の支度や風呂の用意などで
どの家の煙突からからも
焚き物の、白や黒色をした煙がでていた・・・

一時間ほど喫茶店で話し、閉店時間のため店を出た
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やはり、彼女はこの夜もバイクで来ていた
ここから、4kmほど先に家はあった
寒い夜の道を、ホンダ製のスーパーカブのエンジンをかけニュートラルのまま、乗らずにハンドルに手を添えて、家路に向かってゆっくり歩いた
途中からエンジンをかけ、彼女が運転し勝也は後部座席に乗った
2分もかからない時間で、勝也の家の前まで来た
遅いので、家の中には入らず今度会う日と時間を約束し、その日は別れた
店は、毎週火曜日が休みだという
翌日、間に入り紹介してくれた丹羽さんに
昨夜の感じたままを報告し、一応、付き合うことを知らせた
丹羽さんの顔は、微笑んでニコニコしていた

・・数日後の、店が終わったころ
歩いて行くには、遠すぎる
駅から公衆電話で連絡し、タクシーで彼女の家まで行った
彼女の家に行くには、一日数本しか発着しないバスしかない
駅からも4kmと離れ、交通の便はひどく悪い
田んぼや畑が多く、街頭もなく静かで夜は暗闇ばかりで回りが見えない
店の看板が有り、本通りから一歩細い路地を20mほど奥に入ったところにあった
既に店は終わっていたが、店内には薄明かりがついていた
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厚いスリガラスのドアーを開け中に入った
「こんばんわー」と、数回声をかけた
店つづきで、奥のほうに母屋が見えた
やがて、彼女が小走りで店に来て照明をつけた
顔を見合わせ、恥ずかしげに改めて挨拶し、待合所の椅子に腰掛けた
腰掛けるまもなく足早に奥に向かい
二人分のコーヒーと菓子を、お盆に載せ運んできてテーブルにのせた
コーヒーが勝也のズボンに少しこぼれ
謝まりながら彼女が、すかさず持つていたハンカチで拭いた
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染みが残らないよう、水で濡らして揉むように擦った
ズボンと足の腿部に触れられ、ちょっと恥ずかしかった
その時、体が触れるほど近寄った彼女から
髪の甘い香りと、女の匂いを嗅いだ
勝也は明るくなった店内を、ザーッと見渡した
目の前に、三つの大きなミラーが目に入った
床屋とは違った、シャンプー台やパーマ機が置かれていた
居場所の違った空気と異空間なものを感じた
この夜は、互いの家族の構成やら趣味などの話をした
が、親などへの顔見世と挨拶はまだしなかった
随分と話しが合い、じょじょに惹かれるようになった
時間は、直ぐに過ぎ去る
家を覚えて、この夜は彼女のバイクで送ってもらい家に帰った

このころ
弟の光良が小型のスポーツバイクを新車で買っていた
昼間は勝也と同じ会社の谷刈工場に勤め、夜は定時制の高校に通うようになっていた
妹の良恵も同じで、勝也が最初に入った工場に勤め、夜は地域の定時制高校に通い早や3年生になっていた
勝也がすすんだ道の後を追うように、妹や弟たちが歩んでいた

夜、仕事から帰ってから
弟のバイクを借りて、彼女の家にいくようになった

再会してから、三週間ほどが経った
そんな真冬の、3月13日の水曜日の夜
長々と話しているうちに、性と欲求の話題になった
雰囲気に酔いしれ、ムードが揚まり
思い切って
「最後の一線を、こえてもいいかい」
「あんたの 体が欲しい・・ やりたい」 と、求めた
時計の針は、深夜の一時半を指していた
暫らく、黙ったままだった
やがて、この時を待っていたのか
覚悟していたのか
恥じらいだ顔をして
「うん いいよ・・」 と、小さな声でうなずいた
そして、店の裏ドアーをソッと開け
母屋に通ずる廊下を、音を立てないよう忍び足で歩いていった
既に家族は、皆な夢の中だ
座布団を3枚抱えて、戻ってきた
待合所の床に、それを並べて敷き店の電気を消した
そして、コーヒーカップに水を注ぎ
「三.三.九度の盃をしましょ」
暗闇の中で二人は飲みほぐし、儀式は始まった

エアコンの暖房は入っていたが
ストーブが放つ赤く燃える明かりが、真っ暗になった店内をぼんやりと照らしていた
着ていた毛糸の上着と、身に着けた下着を脱ぎスカートをおろした
肌身にまとわり着けていたものを、順次恥らいながら丁寧にはずした
最後に残ったパンティも脱ぎ捨て、両足を内股にし固くなに陰部を隠した
女と違い、男は脱ぐのが驚くほど早い
裸になった彼女のふくよかに膨らんだ胸から乳部への愛撫をし、首筋へと無防備にさらけだされたしなやかな体の上へと向かって這った
抑えきれない、発情してしまった元気満々のムスコを、彼女に挿入しようとした
双方の体は、初めての緊張で固まり、いかにしてうまく合体させことをなすかだけで頭の中がいっぱいになっていた
ぎこちない仕草がつづいた
やがて、渇いたままの二人の体が一つになった・・
性に浸って、味わうことなく
一方的な、瞬時の射精で噴出だった
ドビュッ! ドビュッ! ドビュッ!
と、低く鈍い音を立て
濡れきった
その奥にひそむ
花園の芯に目掛け
濃い粘々したザーメンが
連射で勢いよく飛び込み
蜜の中に溶け込んでいった
少し痛がっていたが
ことをなし
ついに神秘的な、男と女の深い関係を結び
固い、契りを交わした
時は、真っ暗闇のころ、もう、日の変わった3時を指していた
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「これでいいんだ・・」
もう一人の自分に、納得させていた
性の喜びを味わうような、余裕はなかった
男女として、正式に付き合うことへの儀礼的な感覚をもったものだった
用意されたティッシュで、互いに拭き取り黙りあったまま服を着直した
彼女は23才だが、赤い血が床に敷いた座布団に付き濡れて滲んでいた
まだ男を知らない、汚れなきバージンの体だった

勝也は、それを見て
口には出さなかったが
ホッと、ため息をつき安堵し嬉しがった
いままで、人の古や
お下がりの女性と、一度も付き合ったことはなかった
大人びて
成人している彼女を
どこかで、疑い
どこかで、それを期待していた

不思議なものだ
守りつづけてきた、大切なものを捧げた満足感からか
彼女は、嬉しさに満ち溢れた顔をしていた
どこか、他人行儀でよそよそしかった二人も
体の結びつきができ
その距離は一気に縮まり、世の中の全てがバラ色に輝いて見えだした
それを、契機に、後日
母屋の方に訪ね、交際相手として
正式に親へ挨拶をしがてら、顔を見せた
粋な着物を着こなした母親だけが、顔を出した

淡島千景に似た、腰がくびれ均整の取れた女優のようなきれいな人だ
他に家族が二廻りほど年の離れた父親と、9才違いの中学2年になる妹がいるといったが、この日は顔を合わせることはなかった
それからは、毎日のように電話をし
仕事から帰ってから夜、店が終わり全ての後片付けが終わった時間に合わせ家まで会いに行き、彼女の配慮で他の家族に顔を合わすことなく直接、母屋の端にある彼女の部屋に行った
家族の就寝時間は早く、夜の9時には既に床に着いていた
部屋には学校の教材とセーラー服が置かれていた
中学2年になる、妹の美春と
二人の姉妹の、部屋だったようだ
事前に話していたのか、勝也が訪れたとき
母屋の方に行って
妹の美春が、屋に居ることも入ってくることもなかった
美春は勉強の虫だった
いつ寝ているのかわからないほど
いつも、深夜ラジオを聞きながら、机に向かっている娘だった
その内に状況を察してか、妹の部屋は母屋の方に一時的に変わった
これといった用件など、何もない

部屋に置かれたストーブに、あたっているだけではぎこちなかった
いつも彼女の布団が、既に敷かれていた
性欲旺盛な、サカリのついた男とおんな
当然のように、二人はそこに入る
電気を消し
獲物を、我慢していた
飢えた、獣のように
前戯もそこそこに
身に着けた衣類を、一つ一つ
ゆっくりと、優しく脱がし
裸にし
生の肌の匂いをじかに嗅ぐ
白く浮かび上がった
きめ細かで温かな
曝け出された体を、嘗めまわし
首筋や胸元に
まるで自分だけのモノと
誇示するように
恥じらいもなく
大きな痕跡の残る
いくつもの愛の証を、しるし合い
激しく、むさぼり合った
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彼女の体は、正直だ
回を重ねる毎に、日に日に女の喜びを覚えた体になっていった
雌豹のように、変貌し
官能の度合いを、体で表し
秘部はビチョビチョに、濡れ溢れた
温かな液体オイルが
どくどくグチュグチュ
次から次えと吹き出るように、止めどなく溢れでる
身をくねらせ
悶えて
炎のついた
燃える体を止められず
2回戦、3回戦と
麻薬に犯されたかのように
理性を失った野生となって
性懲りもなく
性の戯れが果てることなくつづいた
部屋から洩れないよう
嗚咽する声を必死で押し殺し
性の喜びと堪能の味を知った
若い二人は
尽きることなく
相手の体を求め
いつまでも悶える体を
交互に激しく動かし合い、喘ぎあった
深夜の3時、4時まで
欲求の夢に耽けり
朝方近く家に帰ることも、ざらになっていた

そして、義父が3月22日の水曜日には市役所から婚姻届をもらってきていた

時を合わせるように3月24日
昨年亡くなった父の命日の一周忌の日曜日に、一粒の真珠のついたエンゲージリングを彼女に渡しにいった
丁度、その日、義母も亀崎のお婆さんの七回忌で出かけていた

相手仲人の半田の加藤弥太郎さんの招待で、3月26日の火曜日に亀崎の望洲楼で顔合わせをはじめてし食事をご馳走になった
弥生は待ち合わせた立知駅で、体調がおかしくなったらしくすれ違いをしていた
が、立知から望洲楼とタクシーを飛ばし奔走して、結局、家に帰っていた勝也を望洲楼から弥生は体調不良を黙ったまま迎えに来た
これも経験豊富な大人の考えの加藤さんの指示だった
翌日の27日水曜日には、西端に嫁いだ姉の節代姉ちゃんの待望の長女「明美」が生まれ、病院までお祝いに行った
その足で仲人を頼んだ丹羽さんの西山の家に寄った
が、奥さんの沙代ちゃんは出かけて居なかった
つづいて、3月28日木曜日の夜には半田の加藤さんが結婚の承諾を得るため勝也の家を訪れ母と会った
そのとき、勝也は家に帰っていなかった
そんなこんなでめまぐるしく日が経っていった

・・妹の美春はいつ寝るのか、深夜も起きて毎晩勉強していた
中学二年で、14才の性に興味を持ち始める多感な年頃の娘だ
もうすぐ春が来れば、中学三年になる
お勝手場の冷蔵庫やトイレに向かう行き返りなど
否応なく部屋の隣を通る
自分と姉の部屋から奇妙に発せられる
かすかに洩れる声を聞き
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ガラス越しに
むさぼり合う
姉の性の戯れの姿を
明かりのない
暗闇から
ついついひかれて
そっと見てしまっただろう
彼女にとって誰にも言えない焼きついた秘密が・・

そんな性欲に溺れた日々を、過ごしていた
殆ど、寝る時間もなかった
二人はそれぞれの仕事を果たしていた
しかし勝也は徐々に
大学にはいかなくなり
とうとう休学届けを出してしまった
間に合わず朝の通勤電車に乗り遅れると
東山の辻まで出て車で通勤していた
保全課の板倉さんに乗せていってもらった
会社に着くまで45分くらい後部座席で転寝をした
そんなセックス三昧に溺れた日々が3ヶ月ほどつづいた
毎日決めたように
飽きもしないで・・
日の丸の日の出来ないときは耐えがたいほど地獄の日々だ
若さとはいえ恐ろしいほどの体力とエネルギーだった
彼女は店の休みの日は名古屋迄出て講習会に参加していた
新井会という美容研究会の、幹部である準講師の役割をしていた
その帰り道であり、中間点になる立知駅前で待ち合わせデイトした

駅前の喫茶店 『 あ す な ろ 』 で、少しくつろぎ
飲みに行ったりしたが
彼女はいつも
ビール一杯だけで、真っ赤なゆでだこのような顔になっていた
映画は駅の近くの東映館で、高倉健が扮する
網走番外地やヤクザ映画、森進一が歌う歌謡映画”女のためいき”や”命かれても”夜の蝶”など歌謡映画を観にいった
高倉健の任侠映画は’64(昭和39年)「日本侠客伝」、’65(昭和40年)網走番外地」、’65「昭和残侠伝」それぞれ第1作目が製作され、シリーズ化されていた
勝也がやり直しの青春の道を歩み始め、やや落ち着きと心の居所を掴んだころだ
立知東映館の田島社長は勝也の知り合いで全て入場料はタダだった
目的は二人が一緒にいる時間で映画の中身などはどうでもよかった
休みが異なりなかなか普通にはデイトができない
そんな事情を察して
彼女の母親が、気を利かせ休みを与えてくれた

4月7日の日曜日
前日の土曜日の夜は、R一号線を通り岡崎の夜桜見物に行き
この日は、二人で始めてのドライブに行くことにした
谷刈市の会社の上司、江坂さんに前日の夜からエンジ色のメタリック車コロナを借りた
買ったばかりの新車に近かったが江坂さんは優しい性分で嫌とは言わず快く貸してくれた
清々しく晴れ渡った春の日になった
家まで迎えに車を走らせた
カーラジオをかけ音楽を聴きながら二人だけのドライブを楽しんだ
三ヶ根山を右に見てR23号線を走った
右手には三河湾の美しい海が一面に広がっている
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豊川を抜け一時間ほどが過ぎ豊橋からR1号線に乗り換え湖西市に入り潮見坂を下ると太平洋の大海原が目に飛び込んできた
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海の香りをいっぱいに漂わせた心地よい浜風をうけながら弁天島経由で目的地の浜名湖畔にある館山寺に入った
湖畔に面した温泉街に旅館がひしめき立ち並び狭い通りがつづいた
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洒落た店を見つけ窓から見える湖畔を眺めながら好きな刺身と海老、名物のうなぎをオーダーしひと時の休憩をし昼食を取った
腹ごしらえをした後、すぐ近くにある愛宕神社まで上って参拝しつづいて浜名湖内の内海の内浦湾を挟んだ向こう側の大草山とを結ぶ館山寺ロープウエイ乗り場に向かった
ロープウエイに乗って見る真下には内浦湾が青く浮かび浜名湖がかもしだすロケーションを空中から眺めひと時の美しさに酔いしれ堪能した
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楽しいひと時はあっという間に時が回る
疲れたのを見計らい、途中から弥生がハンドルを握り、運転を変わってくれた
家に着くまでに国道と一般道を抜けていくと3時間ほどかかる
夕方が近づき帰路に着いた

その車中で告げられた

あなたの子供が

お腹にできた・・


* **>※『 あの時 ・ あの頃 』Part 6、《弥生》(1) * E N D *

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  by raymirainya | 2006-11-08 16:13 | あの時あの頃6-1

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