※ヒューマンドキュメントストーリー【15】

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※A Certain Human Story  『 That time Those days 』

Part 6、 《  弥  生  》  ・・結婚という船出・  (2) 


ここ最近の、過ごしてきたいきさつから
お腹に子供が出来るのも、至極当たり前のことだった
そんなことなど考えもせず
約3ヶ月間連続で
来る日もくる日も
毎晩
一度で終わらず
二度三度目と回数をかさね
若さに任せ避妊具も使わず
直接、生のまま
恍惚の性の戯れごとに、毎夜のめり込んでいた
至極あたりまえの結果だった
が、今年で24才になる彼女は何故か結婚を焦っていた
妊娠を喜ぶと共に、不安も感じていた
返される返事が怖かった・・
もしも拒否、拒絶され反対されたら・・
年令に対する婚期の意識が強く
25才になる迄に
結婚しなければならないという概念がそうさせていた
彼女は家の後を継がなければならないと考えていた養子娘だ
まだ結婚もしていない二人だったが
深く考えず、勝也は成り行きに任せ慌てなかった
できた子供は
天からの授かりもの
流すことなく産めばいい
なんとかなる
なんとかする
全ては自分のしたこと
身に憶えのあること
返事を聞き
弥生は幸せの安堵に満ちた笑みをホッと浮かべた
長いようで過ぎ去れば短いだろう
人生の
歴史の1ページに過ぎないこと
勝也は、明日という前だけを見つめ楽観していた・・

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思わぬ告白に
驚きはしたものの、絵空ごとのように思っていた
男と女の自然の成り行きだ
それでいい・・  
どんなことにも逃げず対処して向かっていくしかない
どこまでも強気だった

弥生の両親は
身ごもったことを聞き、喜び、慌てた
待ちに待ってた
待望の孫が出来ることが
よほど嬉しいらしい
思えば弥生の父は
最初の妻を
病気で亡くし
子供まで亡くしていた
今の、二回り近い23才も年の離れた後妻をもらって
二人の娘を授かった
早や70才と、老いていた
男の子の孫が欲しい
生きているうちに・・と
古き男だからか
年も手伝ってか
わかる気がした
無理もないことだろう
独自で発行する新聞記事を書いていた
見聞や知識も幅広く
余計なことを決して言わない年輪を感じさせる頭のよい賢い人だ
そんな中、母親が手を打った
母屋の隣に新婚用にと
近くの篠塚さんに無理難題をぶつけ、短期工事をたのんだ
所詮は無理な依頼で、ていよく断られたらしい
が、義父が奔走し回り
受注相手を決めてきた
鳥居工務店が、わずか二ヶ月もない日にちの工期で
突貫工事の、軽量鉄骨二階建てを建てはじめた
一階部分は母屋つづきでキッチンとバスルーム、トイレなど
二階が6帖の押入れ付き和室と
12帖の縦長で洋間のトイレ付きの部屋の間取りだ
通常の工期ではない
十分な図面検討と吟味もせず無理なことだ
が、強引とも思えることもお構いなしに進められていった
見る見る間に
当事者を他所に結婚話は進められた
弥生の母親は
何十人もの花嫁を作ってきた
腕利きの美容師で
先生と呼ばれる男勝りの気付け師だ
手に職を持った気性も手伝ってか
やること、なすことが驚くほど早かった
あまりの早い進展にストップもかけられず
客観的に眺め、好きなように任せた

ジュンブライドにこだわり
6月8日の土曜日に新川町の駅前
山田屋の二階で結婚式を挙げることがとんとん拍子で決まった
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紹介してくれた丹羽さん夫婦に相談し
両仲人のスタイルで
奥さんに式の立会いを頼み
相手側は、母親の知人だという半田住吉町に住む加藤弥太郎という人が立ち会った
丹羽さんの奥さん紗代ちゃんは
一見すると玄人はだしに写るタイプの人で、もともとが弥生と同じ地域の出身で細かなことをよく知っていた
丹羽さんは人のよい人だが
不幸なことに夫婦には精子の関係らしく子供が居なかった
その分奥さんを好き勝手に自由に行動させていた
突貫工事で進めている部屋にトラックで洋服タンス、机、ミニチュアサイドボード、応接セット、ステレオなどを式が行われる数日前に運び入れた
勝也は一旦住み慣れた家を出ることにした
家に残る者は、母と妹と弟の3人だけになってしまった

式の当日は、天も祝うかのように
真っ白な雲がチョロっと浮かぶ澄み切った青空に晴れ渡った
まだ式の当日も外壁工事が行われていたほどだ
あまりに急な運びだったため
勝也の九州にいる兄たちは来られなかった
神前形式で行われた式には
母親と母の妹の高浜のちか江おばさん、姉の初美、節代
在所の良雄さん友人として山田多美夫君が出席してくれた
どの顔も、にこやかに笑っている
弥生は豪華な新作の眩いほどの金色の羽織を着た
数百万円もする一般人にはとても手の届かない衣装だ
勝也は弥生の手配した出入りの衣装屋のモーニングにした
弥生は大変だ
重い花嫁姿の衣装を着て、隣近所の家に個々に歩いて挨拶に回らなければならない
花嫁になる女性と違い、男はまるでやることがない
前日は馴染みの姉妹でやってる
床屋に行きヘアーをバシッと決め頭をさっぱりさせた
静寂に包まれ厳かな式が進められてゆく
誓いの言葉を読み上げ指輪の交換をした
事前に準備され書かれたものを読むだけだが神聖な気持ちになった
式の後は賑やかな披露宴が行われた
一気に気がほぐれ緩んだ
祝いの酒で随分飲まされたが
緊張して張り詰めているせいか少しも酔わなかった

息つく間もなくまもなく
一旦家に帰って着替え
スーツケースをかかえ新婚旅行へと向かった
竹村さんの車で、名古屋駅まで送ってもらった
カメラも借りた
絶対に嫌な顔をしない、人の良いひとだ
目的の場所は、以前、恒ちゃんと行ったことのあるところで
もう一度、必ず行こうと決めていた地だ
山並みと田園、岩と渓流
高原と湖、青い空と白い雲、木々の緑と草花・・
空気の新鮮さが違う
自然のおりなす香りと匂いが違う
目を癒し心をほぐす
そんな自然が魅力だ
国道19号線沿いと、木曽川を抜けてゆく
信州信濃路への
時間やスケジュールに拘束され
追われることのない
自由気ままな行き当たりばったりのフリーな旅行だ
夜の8時半に、始発駅の名古屋駅に着き
中央本線の、夜行列車で指定席に乗った
席はゆったりとし、車両も空いていた
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深夜の列車は
独特な雰囲気をかもしだす
哀愁のロマンじみたものがある
社会が寝静まった
静寂の暗闇の中を、グォーングヮーングィーン
カッ゙タンゴットンと、含み音を奏でながら伸びるレールを突き進んでゆく
夜明け前の
まだ暗い3時半に
新潟方面への分岐店になる、塩尻駅に着いた
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昼間の余韻に興じ
夜行列車で眠らず
神経も疲れていたのか、急に物凄い勢いで眠気が襲った
動こうにも、まだ街は眠っていた
駅の改札口の横に置かれた
ベンチに腰掛け、夜が明けるのを待った
二時間ほど経って6時頃
朝焼けと共に
街がざわざわと動きはじめた
駅前の細い路地に、旅館の看板が目に入った
もう疲れた
限界だ
歩きたくない
動きたくない
躊躇することなく中に入った
二階の部屋に案内され
布団を敷いてもらった
勝也は旅行用に作ったカシミアのブラウンのスーツを脱ぎ
合わせるように、弥生も淡いピンクのスーツを脱いで洋服かけにかけた
体をむさぼり合うこともなく、猛烈な睡魔に引き寄せられ
冷え切った体を寄せ合い
そのままぐったりと、あっというまに爆睡の世界へと入っていった
4時間ほど寝ただろうか、昼近くになって目が冷めた
うんよく丁度昼時だ
旅館で用意された昼食が、たまらなく美味く感じた
腹ごしらえも済み
身なりを整え直し、塩尻駅から松本駅へと向かった
別名カラス城とも呼ばれる
黒い塀の国宝松本城へ行った
そこで
二人の結婚の報告をした
「いつまでも、見守っててください」・・と
青空の中に
黒い城壁と壕の水がさわやかに映って、何とも言えない壮大さを感じた
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名古屋城より小さかったが、独特の雰囲気を放っていた
城内に入り
昇って上から松本の町を眺めた
思ってたよりも低く高くはなかった
日曜日のせいか、観光客の人たちが多く目立った
ここから北に向かえば
白馬経由か妙高高原、野尻湖経由でどっちにしろ新潟に入ってしまう
Uターンすることにした
夕方になる前に塩尻を経て岡谷経由で下諏訪へと向かった
下諏訪駅と隣接したビルの2階の喫茶店でくつろぎ
街を眺めながら、これから何処へ行こうか、どうしようかと考えた
あれこれ
思いつきで考え行動することが
無計画の旅の面白さで、楽しさでもある
タクシーに乗り
運ちゃんに相談し、豊富であろう知恵を借り
紹介されるままに身を任せた
湖畔沿いに在る旅館に、タクシーは止まった
そこは 「諏訪湖ホテル」 だった
これでいい
運がよいか反対に悪いのか
クジを引くようなものだが、案内されたこの宿に迷うことなく決めた
景観のよい和室に案内され
つかの間の休憩をとり
荷物を置いて
ゆっくりと諏訪湖畔を散策し、ポーズを取り合い写真を撮りまくった
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以前来た風景が甦り懐かしさを感じた

旅館に戻って風呂に入り
浴衣に着替えビールで乾杯をし、夕食に舌鼓をうった
ほろ酔い気分で、部屋のベランダから眺める
日の沈んだ諏訪湖畔の風景に、哀愁と郷愁じみたものを憶えた
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待ちに待っていた
異国の地での記念すべき新婚初夜だ
その時をやっと迎える
なぜかしら
不思議と
感慨深いものが込み上げた
初夜という言葉の響きが、神聖さを演出する
短期間の内に、くどいくらい交じあい
体の隅々まで知っているはずなのに
改めて
生涯のよき伴侶として挨拶をし合った
浴衣の弥生は一層艶やかしい
はみ出た白い柔肌が、欲情を掻き立てる
もう限界だ
これ以上は我慢ができない
着ていた浴衣を脱がせ抱きついた
・・・  ・・・・・  ・・・・・・・・・・・
キッスの雨を浴びせた
首筋から
胸元へと
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愛撫はつづく
反るように体と首筋が伸び
二つの乳首がピンと、固く立つ
愛の結晶が宿るお腹の部分をいとおしく撫でた
妊娠5ヶ月の身重だが、さほどお腹の膨らみも気にならない
「待って・・」
ピンクのパンティを、ゆっくりおろした
弥生の体は
既に、ことを行う前からジュクジュクに濡れている
何よりもの愛の証だ
身も心も
解放された地で
ときめき
興奮がいっそう高まった
むさぼり合い、異常なほどに燃え合った
もっと
エクスタシーを
もっと
感じようと
体をくねらせ
ひねらせ
いくつもの体位と、無理であろう態形をとった
恥じらいもなく
本能のおもむくまま
大胆になってゆく
あえぎ声が
「あぁ あぁ」 と漏れる
奥に入れて
もっと奥に
「ちがう そこ  そこ」
花園の芯にとどかせようと
股を大きく広げ
両足をいっぱいに
伸ばし
上げたり
海老のように反りかえり
腰を浮かせ
くねくねと廻したり下げたりした
前後に激しく動く
勝也の腰を
両手で抱くように引き寄せ
こん身の力を入れて
ピストン運動のリズムに合わせ、密着した体を引き寄せた
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手を使い
蜜のある
性感帯へと誘い込む
「いぃ いぃ 気持ちいい」
「気持ちいい,,,,,」
「いくー いくー いっちゃう いっちゃうー,,,!」
フニッシュを察し
「いや いや まだ まだ 出しちゃいや だ 出しちゃいや!」
「いっしょにいきたい,,,」
「ね ねー 一緒にいって 一緒にいって,,,!」
「うぅぅぅう んんんんん ううぅぅぅぅうー,,,,,」
「いぃ、、、いぃ、、、、、、、、、いくぅ、、ぅ、、、、、、、、」
「死んじゃう 死んじゃうー,ぅ,,ぅ,,!」 精一杯力んで声をあらげた
長い合体運動が完了しだ
びっしょりと汗を掻いた
浴衣も濡れている
心臓が破裂しそうに
バックンバックンと大きな音を立て、波を打っている
極限に近い
エネルギーの噴出だ
どこに
こんな元気が潜んでいるのだろう
グッタリとした弥生は満足感に満ちた顔をしていた
「すっごい感じた 気持ちよかった,,,,,」 ・・と
好きな異性と
燃えるようなセックスをしている時
人は幸せに浸り、喜びを肌で感じ取る
一番愛する人に
いっぱい愛される
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式後の初夜の儀式は、こうして無事に終わった
お互いに気持ちは同じだ
ひしひしと恍惚の幸せを感じた

翌日も快晴だった
用意した好きなタオル地の
オレンジ色やスカイブルー、真っ黄なTシャツを着させた
お気に入りのシャツを身にまとってくれると気分も高揚する
諏訪湖を拠点に
霧が峰高原界隈を
数日ゆったりと回ることに決めた
湖でボートに乗り
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高原で馬に乗った
平日の
月曜日とあってか
昨日までに
帰った人が多く
人は少なかった
太陽の日差しをいっぱいに浴び
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広大な高原を
貸しきっているような錯覚を起こした
大自然は雄大だ
飽きることなくもてなし遊んでくれる
どれもこれもが新鮮に写り興味を引く
行くとこどこの土産物屋を
冷やかしでたくさん覗いたりもした
土地独特の沢山の民芸物が目を奪う
標高の高い高原の空気が、疲れた気持ちを癒し洗ってくれた
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ去ってしまう
又、、現実の生活に戻らなければならない
4泊5日の旅行も、過ぎ去ろうとしていた・・

とうとう旅行最後の帰る日が来てしまった
まだ昼時で
帰りの電車の時刻までやや時間があった
駅前に在るパチンコ屋に入って時間つぶしをした
出が悪く次第に列の違う台に移って離れ離れになった
偶然に見てしまった
弥生がタバコを吸っていた
唖然とし愕然とした!
交際しているとき
映画館の女子トイレで、内緒で隠れて吸っていたことがある
物凄い喧嘩をし、一方的に別れを告げた
その時に ” 止 め る ” と、固い約束をしたはずだった
丁よくごまかされ裏切られた
冷静さを失い頭に血が昇った
近寄って
「何を吸っとるだー!」と、回りかまわず大声で怒鳴った
すぐさま隠して気まずそうに必死に誤ったが現行犯だ
言い逃れの仕様がない
「嘘ばっか こきゃがって!」
「なに考えとるだー!」
「てめぇ見たいな奴はやめたー!」
捨て台詞を吐き捨て
縋りつく手を払い退けパチンコ屋を一人で飛び出た
好きな女が
タバコを吸うなど一番嫌なことだった
裏切られた思いが治まらない
情けなさと、呆れ果てて物も言えなかった
傷心の気持ちのまま
あてもなく知らない街を、一人ふらふらと彷徨った
どちみち駄目なものなら早いほうがいい
と、自分を慰め納得させようと怒り震える気持ちを静めるよう努めた

30分ほどの時が経った
発射時刻まで
初めて二人で立ち寄った
駅に隣接した二階の喫茶店に入り、心の整理と傷を癒した
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いよいよホームに向かう時間が来た
店を出て下に降りようと階段に向かった
階段の下から血相を変えて上ってくる女性がいた
弥生だった
神様の悪戯なのだろうか
なんという偶然なのか
異国の地で、計ったようにタイミングよく何故会えたのか・・
不思議な因縁を感じた
許してと懇願しつづけた
言い争いが
階段の途中で暫らくつづいた
他の客たちが
顔をそむける様に黙って上り下りしてゆく
あっちこっち探し回って、最後の最後にここに辿り着いたという
頬には溢れる涙が流れ落ちいた
今度だけはと、渋々ながら許すことにした

時が流れ帰りの電車の中では仲睦まじい二人に戻った
現金なものだ
霧が峰高原よ ありがとう・・
諏訪湖の街よ さようなら・・
又くるからね・・
夢の中か
幻想に
持て遊ばれているような日々
信州信濃の長野の旅は終わった
窓ガラスに映る景色に目をやると
既に陽が落ちはじめ
夕闇に暮れてゆく
遠くところどころに
村の家の明かりが
映写機の走るコマ送りのようにように映しだされた
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20時30分ころ名古屋駅に着き
私鉄に乗り換えた
23時を過ぎ
やっと夜、家に着いた
土曜日から水曜日までの、5日間の旅だった
遅いので、皆は寝ていた
その日は、そそくさと二階の階段をあがり
鍵をドアーに挿し開けて部屋に入った
翌日おきてから
居間でテレビを見ていた弥生の母親と父親に
改めて丁重な挨拶をし土産を渡し簡単な旅行報告をした
妹の美春は、中学3年になり学校に行っていた
15分ほどで失礼し
外に出て
二階の部屋に戻って
タンスの中に入れてある
一着の背広の内ポケットに手を入れた
そこに数枚のH写真を入れたままになっていた
式と旅行の慌ただしさからついそこに入れてしまった
が、何度探しても見当たらない
誰かが内緒で持っていったらしい
鍵は自分たちが持っている
和室と洋間の部屋と
2箇所の外から入るドアーがあり鍵がある
合鍵を持っている家族以外に入ることの出来ない部屋だ

今日は13日で木曜日だ
市役所に、婚姻届を提出しなければならない
同時に、養子縁組届けもだ
勝也の母親は怒って反対した
「腹を痛めて折角ここまで苦労して育ててきてやったのに、何が悲しくてそんなことをしなけゃいかんだ」
「他所になんか やらんぞー!」
「何のために育ててきたと 思っとるだー!」
その言葉を最後に
それ以上、何も言わなかった・・
情けなくてモノも言いたくなかっただろう
それでも母は明るく振舞っていた
母の気持ちはよくわかった
当然のことで、言い分も十分理解できた
が、家の跡取りは九州鹿児島に行っている長男が居る
戻ってきてみるはずだ
次男の兄もいつか戻ってくる
自分もいつか家を出る身だ
思えば父が生きていたとき
「跡を取る気はないか」 と、遠まわしによく言っていた
まんざらでもなかった
家の中では、長男のように育ってきた
そんな取り巻く家庭環境だった
その父も、昨年他界して今はもういない
父が生きていて
兄たちが戻ってこないなら
おそらく、そうしただろう
が、今はちがう・・
若い勝也はそれ以上深く考えることをやめた
それより、この地方に滅茶苦茶多い名字が嫌だった
学校でも地域でも、同じ苗字だらけで
フルネイムか下の名で呼ばれた
子供の頃は気にならなかったが、大人になると抵抗が出始めた
安っぽく、見下げられた感情を勝手に抱き
ひがんだ意識が潜在し
そんな取るに足らない、くだらないことを気にしていた馬鹿な奴
”よく考えてから行動する”理念を、すっかり忘れ
結局、無謀にも母の悲痛な思いを跳ね除け
翌日、縁組届けに書名捺印し書類一式を添えて市役所に提出した
還暦近くになる母のやるせない心情が
わかっているようでまるでわかっていない
自分勝手でわからずやの、親不孝ものだ・・

市役所から戻ってから、乱雑したままの部屋の整理と物の置き方を決め配置した
思い道理にレイアウトが決まりスッキリした
これでようやく落ち着ける気分になった
翌日の金曜日から、新たな気持ちで会社に勤めだした
夜や日曜日に
仲人を始め参列者や親戚筋に、お礼の挨拶と、お土産を配って回り
記念すべき日が、あっという間に過ぎた
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これからはいつも一緒に居られる

胸が高鳴り

心が躍る

夢と希望にふくらんだ

新しい二人の生活がいよいよ始まる・・



* **>※『 あの時 ・ あの頃 』Part 6、《弥生》(2) * E N D *

Continued on the following page. ・・・
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  by raymirainya | 2006-11-15 16:32 | あの時あの頃6-2

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