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創作続編 28話 ”展開” p-2 縄の糸

開催が、大阪でばかりじゃおもろない

結果は、やっぱガチガチの  1-4-6

インがめちゃくちゃ強いわ


2008年12月23日(火)・・・晴れ・・・10℃~2℃


※それでは、創作続編 ・第25話・・・・・ 『 それぞれの 思 惑  』 にひきつづき

※  創作続編 ・第26話・・・・・ 『  感      激   』 

※  創作続編 ・第27話・・・・・ 『  予      兆   』

※  創作続編 ・第28話・・・・・ 『  展      開   』
    ・Part 1 ・・・  《 ソンジェの・・・ 旅 の ピ リ オ ド   》


・Part 2 ・・・  《 セ ナ の・・・  縄 の 糸    》

ラスベガス公演を終え 韓国ソウルに戻ったセナは 空港に待ち構えていたマスコミ陣との
緊急記者会見も そつなく無事にこなし ナレと共に 住みなれたアパートへと向っていた
仕事の緊張が続き 肉体面はもとより 精神疲労も ピークにさしかかっていた
これほど 自分達の部屋に帰って 早く息をつきたいと思ったのは 始めてのことだった
いつしか 夜も更け
久しぶりにみる 空一面にきらめく 満点の星達が
優しく微笑みかけ 久しぶりの帰りを 出迎えてくれてるようだ
しかし 疲れているせいか 部屋にたどり着くまでの急勾配の坂道が とてもキツク 長く感じた
慣れ親しんだ 懐かしの我が部屋が  近づいてきた
そして ようやく部屋の前まで辿りついた
「 あ~ぁ やっと 家に着いた~  あ~ぁ 疲れた 」

あるじの居なかった部屋は 静寂を保っていた
おとなしく  留守番をしてくれ
しかし  懐かしさと  安堵感を 与えてくれた       
セナとナレは 部屋に入るやいなや 荷物を置き 腰を下ろし ゴロッと寝転がった
同時に 同じような言葉を吐いた二人は 顔を見合わせ 噴出し笑い合った
四六時中近く一緒に居ると 徐々に やる事なすことが 似てくるものだ               サイコー♪  この言葉につきた♪
やはり どんなゴージャスで 華麗で 高いホテルの部屋よりも

安アパートの狭い部屋ながらも勝手知ったる我がこの部屋がセナもナレも一番ホッとすることができた
不思議と気持ちが落ち着き 身も心も安らげ 溜まっていた疲れが ドーッと溢れ出た
もう話すことも 動く事も 立つ事さえ 億劫になっていた
結局 居心地 住み心地なんてのは メンタルな部分が 大部分を占めていることを痛切に感じていた

居心地 住み心地って 一体何を意味するものなのだろう
個々のみんなが リラックスできる くつろぎの場
最新設備が整った 便利で 使い勝手のいい
本当の住み心地の良さというのは 快適な 温度や 湿度きれいな空気・・・
といった 住まいの環境や 性能に頼った部分だけではない・・・

爽やかで 気持ちの良い 青空と 風♪ 
庭の花も咲き ベランダや 庭の椅子で ホッと一息♪
うぐいす等の 鳥の鳴き声が似合う 落ち着く場所♪・・・四季折々の景観と風情
朝には鳥の鳴き声が・・ 夜には虫の音が・・・ 涼しい風が部屋を通り抜け・・・
風通しのよさは・・ 精神的にも落ち着く♪・・・

・・と いうのも 最高に贅沢でいいのだが・・・  
今の二人は違う考え方をしていた
結局 その夜は二人とも旅の公演疲れがでて その後シッカリと爆睡した・・・



翌日 顔を洗い寝ぼけ眼で朝食をとりながら 十数件の留守番電話の メッセージを リプレイボタンを押し聞いた
その 8件目に

「 もしもし  ミンチョルですが  公演から帰ってきたら僕に電話してください ガチャ !!! 」
と 伝言されていた
二人はボヤーっと朦朧としていた頭が 一気に覚め 現実へと引き戻された
ミンチョルの声と話し方には 独特の特徴(クセ)があった
この声のトーンと話し方は 必ずヨンスとの間に 何か良くないことがあったときだ
ナレとセナは お互いに同じことを考えと っさに思い出した
ラスベガス・ヒルトンホテルから LAタイムズ紙に取り上げられ
その喜びをヨンスに伝えようと電話をし メールまで入れたにも関わらず 未だに何の連絡音沙汰もなかったことを

「 あ~ぁ 室長のあの話し方だと やっぱりヨンスに何か悪い事があったんだわ~ 」
二人は 延々と機械的に メッセージが伝えられる 電話器を見ながら呟いた
ズーッと ヨンスから沙汰もないのは元気な証拠 と思うようにしてはいたのだが・・・
二人の間に 暫らくの沈黙がつづき それぞれ頭の中で想像し 考えめぐらしていた
そして やがてナレは受話器を取り ミンチョルの会社 BMC社長室に電話した

「 もしもし  室長ですか カン・ナレですけど  」
「 もしもし  イ・ミンチョルですが  あぁ ナレさん  」
「 昨日の夕方ですか 見ましたよ TVのイブニングニュース 」
「 セナも凄いフィバー振りで 大成功だったようですね  ヨカッタ よかった オメデトウ 」
「 室長 そんなことより ヨンスに又何かあったんですか? 」
「 ん・・・  実は・・・    」
「 暫らくミンチョルは 言葉に出して言えずにいた
「 実は ヨンスは今 ヨムスンソウル大学病院に 入院しているんだ 」
「 もう 一週間になるよ 」
不吉な予感が ナレの全身に走った

「 えっ!!! い いったい  ど  ど  どうしてですか  病気が再発したんですか 」
「 ん  再発でもないんだが・・・  実はヨンスは 妊娠してたんだ  まだ2ヶ月だったけど 」
「 えーっ ヨンスがですか~ わ~ 凄~い 」
「 いや  それが・・・  流産したんだ・・・  」
「 貧血で デザインスクールで倒れて 救急車で運ばれてわかったんだよ 」
「 まだ 妊娠はしても ヨンスの体が完全に復調してなくって 難しいらしいんだ  」
「 妊娠と流産で ヨンスの体力も 随分落ちてしまったんだ 」
「 よくはわからないいんだが 鉄分と 血清総蛋白量ってのが極端に低くなってて   」
「 今回は 5週間ほど 入院しなけりゃならないみたいなんだ 」
「 そ そんな~ どうしてヨンスは そんな目ばっかりに合うんでしょう  」
「 ヨンスが完全に正常になるには 3~4ヵ月以上かかるみたいなんだ  」 
「 そんなにですか~  でも・・・ ヨンスが 無事でよかったです 」
「 今日は休みなので 早速セナと一緒に あとで病院に 行きます  」
「 ありがとう  きっとヨンスも喜ぶよ ナレさんとセナが覗いてくれれば   」
「 あっ  病室は 505号室です 帰ったばかりで疲れているのに 心配かけてすまないね 」
「 宜しく頼むよ 男の僕じゃ 今は 何もしてやれない きっと君達の顔を見れば 元気になる気がする 」
「 そんなことはないですよ ヨンスは室長一筋ですから  それでは 失礼します  」
傍で ナレと室長とのやりとりを 傍耳を立て聞いていたセナは 不安にからわれていた

「 何で~ なんでお姉ちゃんばっかりこんな目に合うの~ 」
「 倒れたって・・・ 病気の再発じゃないんだよね 」
「 そうか~ 病室に居たんじゃ 携帯も繋がらないわけだ・・・  」
二人は 早速身支度を整え キュソクの送りで ヨンスの居る病院へと向った

病院に着いた二人は 院内全体を表示している 一階のインホメーションマップを確認し
エレベーターに 乗った
そこは 病室の窓から 朝日が飛び込んでくる 東向きの 爽やかな部屋だった
どうやら二人部屋だ ネームプレートをチェックし 病室のドアーを ソーッと静かに開けた

 ≪ 505号室 = キム・ヨンス(金  瓔 洙)  〇〇〇〇〇 ≫
            ガチャ !!!
ヨンスは 外の景色を ベッドから 身を横たえ 物思いにふけり 眺めていた
相部屋の人に軽く会釈をしながら 挨拶し ヨンスに声をかけた
「 ヨンス~  」   
「 おねえちゃ~ん 」
その声に ヨンスは 振り向いた
「 あら !! ナレ  セナ  オドロいたわ 」
「 はい  これ  お見舞いの 花  」
「 わぁ  ぁ う れ し い ありがとう  でも  どうして わたしが ここに居ることがわかったの 」
ナレとセナは ミンチョルからの留守番電話と ココを知るまでの 経緯を話した
あの人が・・・ ヨンスはミンチョルの そんな優しい気遣いが うれしかった
ヨンスも 自分の経緯と 状況を ゆっくりと 悲しげに 二人に語った

二人は 折角奇跡かのように身ごもった子を亡くした ヨンスの心中を察すると 何も言うことが出来なかった
ヨンスは同性であり 無二の親友の ナレと妹として可愛いがっているセナに つつみ隠さず話したことにより
精神的に 随分と 心のモヤと シコリをほぐすことが出来たようだ
そして 入院して 早や一週間が過ぎ去り ソン教授のいった通り
まだ今一つ顔色はすぐれてはいないが 体調も落ち着きはじめ 安定の兆しをみせかけてきていた

「 おねえちゃん 今度こそ ホントに ゆっくり休んでね もう ムリしちゃダメだよ 」
「 昔っから  おねえちゃんってば もう 一人内緒でムリしちゃう性格なんだから 」
「 でも こうして話してても 思ってたより元気そうだから ちょっと安心した 」
「 ほんとに わたしのことで いつも心配ばっかりかけてごめんね 」
「 みんなには 内緒にしてって 頼んでおいたんだけど 」
セナとナレは 水臭いことを言わないで!! と真顔で怒った
でも ひとまずは 顔をみて安心した

夕食の時間になったので ヨンスの病院食を取りに行き ヨンスが食事を取るのを見届け 病院を後にした
これから帰って夕食の準備をする気もなく 帰り際にあった焼肉店に入り 二人は夕食を取る事にした
こじんまりとしていたが 街角の洒落た焼肉店で 他の店より メニューも豊富だった
二人にとっては 久しぶりの韓国料理だった
レッスンや事前準備 海外公演などで 疲労もピークに達し スタミナも 切れかかっていた
まず 鶏の中に もち米 朝鮮人参 なつめ 栗 にんにくなどが入って 栄養満点 
食べると力が湧いてくる 参鶏湯(サムゲタン)を注文した
二人は 久しぶりに ビールと 焼酎も頼んだ

今日は 来る時 キュソクに送ってもらって正解だった
帰りの車の運転の心配は無い  思う存分 飲み食いが出来る
次は ” テジカルビ ” だ  はさみで切って 炭火で焼きながら
副菜(ミッパンチャン)も 10種類以上あって豊富だ
サニーレタスや 胡麻の葉に 薬味や 味噌といっしょに包んで 食べた
そして ” タッカルビ ” だ 玉ねぎや モヤシといっしょに鉄板焼で食べ
仕上げは ” ビビムバブ ” モヤシや ホウレンソウ ワラビなどのナムルと 卵(卵焼き)
唐辛子(コチュ)味噌の調味料で 暖かいご飯と混ってて マシソヨ(美味しい)!!!
ガソリン補給も 酒の酔いも手伝い 腹いっぱい 満タンにできた
心地よい満腹感と ほろ酔い気分で 夢心地の いい気持ちになった

二人は タクシーを拾い アパートへと向った
タクシーに乗って ほろ酔い気分でみる ソウルの夜の街並みも オツなものに映った
顔の見えない 夜は独特のムードを かもしだしている
二人は このまま眠ってしまいそうな 心地よい睡魔に襲われていた

翌日 ナレと セナは ソウルから南東に 約 50km 車で1時間半ほど離れた
利川市(イチョンシ)にある 養護施設 天使の家へと 向っていた
RV車を運転するナレは カーナビに沿って スムーズに走っていた
メイン道路から外れた 山間部の道に入ると
道路整備は悪いが なんと言っても 森林浴の 空気が美味しく満喫できた
天使の家の シン・ウスン副院長には 朝方電話を入れ連絡しておいた 
今日は 何かが掴め わかるような気がしていた
その期待に反して セナの胸の鼓動は高まり 不安感も増幅していた
いよいよ 天使の家が 遠くに見えてきた

セナは 早速 シン・ウスン副院長の元へと向った
副院長室にノックして入ると そこには シン・ウスンがソファーに腰掛け 待ち構えていた
その目の前の テーブルの上には 
年度と出来事とが 時系列的に フローチャート化された書類が 用意されている
セナは 挨拶をし まず子供達全員へと プレゼントを持ってきた事を話した
その頃ナレは 大きなダンボールの箱を 数箱車から廊下へと 運びだしていた

「 メッセージを聞いて休みが取れたもんですから 早速来たんですが ・・・ 」
「 待っていたのよ あなたが来る日を 」
「 あなたがこの前来てから直ぐに 全部の書庫をあさって 古い書類を捜したの 」
「 それでね あなたに関することを その頃の 院日誌や 寄付記録 訪問記録 面談記録 全てメモしたの 」
「 勿論  あなたの個人基本台帳も それと一生懸命 当時を思い出す努力もしたの 」
「 あなたは まだ乳のみ子だったから 入養話し (孤児を養子として迎える) があったのよ 」
「 ある不妊夫婦が申し出て 一番乳飲み子で幼かった 女の子の あなたが 欲しいって 」
「 でもね 具体的に話が進んでいく内に 親戚にバレて 反対され 縁を切るって揉めてしまったのよ 」
「 入養は周囲に対しても秘密維持が先決条件なの ‘ 絶対に秘密 ’でなければならないの 」
「 産んだ父母が生きていても 秘密でなければならず  子供自身にも秘密でなければならないのよ 」
「 入養児を育てようとすると最小限で 五回 多ければ 十回かそれ以上も転居しなければならないのよ 」
「 どうしても養子にしようとするなら 引越荷物をほどくことができない程なのよ 」
「 無礼な人々がまだまだ多くって ‘ 拾い子 ’ って 傷を負わせるの 鋭い視線が執拗だから 」
「  入養後 そのまま暮らそうとしても 偏見の目が強くって 結局は引越しする家を探して 移るしかないの 」
「 入養機関の社会福祉士が定期的に訪問して 報告書を提出するのよ 入養父母たちの人は 周囲の人々の偏見が恐ろしくって 社会福祉士の訪問を拒んだり  こっそりと住所を移してしまって 全く連絡がとれないようにしてしまうケースが多いのよ 」
「 だから 入養は残念だけど 海外への入養が圧倒的に多いのよ 」
「 でも その方たちは貴女にとっては 神様のような人だったわ 」
「 事情をよく聞いて 院の方からお断りしたの  お互いの将来のためだから 」
「 相当な覚悟と 親戚を含めた 周りの理解と支えがないと 不幸なことになってしまうからよ 」
「 その時にね 何処から出たのか あなたの変な噂が流れたのよ 」
「 あなたが当時の ある人気歌手の 不倫の子だって・・・ 」
「 入養の手続きをしている時に 改めてあなたには出生届けがなされておらず 戸籍がないことがわかったの 」
「 あなたを預かった お友達も あえて戸籍を作らなかったみたいね   」
「 まぁ 一時預かってただけなんだから それは それで当然のことなんだけど 」
「 産院で出生証明書をもらい本籍地か住民登録しているところに  」
「 赤ちゃんが生まれて 2週間以内に 出生届けを出す決まりなんだけど 」
「 例え結婚してなかったとしても 母親が韓国人なら自動的に韓国籍がとれるし 」
「 父親が認知さえすれば 届けはできるのに・・・ 」
「 あなたの両親には それが出来なかった よほど深い事情があったみたいね 」

「 この前来た時に あなたは冬の寒い日に  施設の玄関の横に毛布で包まれ 置かれていたことは話したわよね 手紙が添えられて・・・ お母さんに事情があって  友達が預かって育てていたらしいけど その方の旦那様がお亡くなりになって もう 女の細腕で  他人の子まで育てていく  余裕が無くなってしまったからとか書いてあったこと  お母さんにも何度か連絡をとろうとして  探したらしいのだけれど 既に韓国を出て アメリカに渡って行ったらしく  連絡の取りようが無いって そんな事が書いてあったって  その友達って  有名な歌手だったってことも・・・  あなたに話したわよね・・・ 」

「 まだ その時のあなたは ヨチヨチ歩きも出来なかったの だから 法に従って 捨て子として 仕方なく警察に届けて調書を作ったの そして管轄だった 今の利川(イチョン)市役所に届けて(1996年3月1日に市に昇格) 法による今で言う役場の市長さんの責任と権限で あなたの戸籍を作ったの 勿論 名付け親になるのよ 当時の利川(イチョン)の役場の長が・・・  あなたも知ってるかと思うけど その方は 3年前に 亡くなった アン・チョンドンさんだったの  本籍地は  ここの天使の家の住所にして 生年月日も役場の長が決めた あくまで推定なの 名字は その時あなたを一番可愛がって 妹のように面倒見てくれてた キム・ヨンス(金  瓔 洙)と 同じにすることに決めたのよ 二人が仲良く姉妹のように支えあって生きていってくれるようにと願いを込めて・・・ そして戸籍の 男・女 欄を除いた不明な箇所は 父・母・続柄など 全て不詳の部分は白紙で空欄になったままなのよ  それは決められないし 記載できないの 」

「 そして付けられた名が キム・セ ナ = 金・ 世 那 = 김 세나  なのよ 」

「 利川市(イチョンシ)の市長さんが名付けた その意味はね あなたと言う ひとりの人間の存在が この世に間違いなく生きつづけ 予期もしない大きな変化を受けながらも 跳ね除けて 素晴らしく生きることを讃え 永遠に認めさせるってことなのよ 」

セナは シン・ウスン副院長の話を 胸の詰まるような思いでジーッと聞き入っていた
自分の命名に そんな深い思いが込められている事を 始めて知らされ感激した
セナは ヨンスと二人で 誕生祝をした日のことを 思い出していた..

언이가 오늘 생일 만들어졌어. 
オンニガ オヌル センイル マンドロジョッソ
お姉ちゃんが 今日 誕生日を 作ってくれたの
이제 우리도 생일이 있다.
イジェ ウリド センイリ イッタ
今は 私達にも 誕生日が あるの。
언이 크리스마스가 진짜 우리 생일이지.
オンニ クリスマスガ チンチャ ウリ センイリジ

お姉ちゃん、クリスマスが 本当の 私達の 誕生日でしょ!..

そして顔さえも知らない 亡き 利川市役所の市長 アン・チョンドンさんに 心から感謝した・・・
で なければ・・・名前も  推定とはいえ生年月日も・・・  戸籍のない浮浪児で 孤児のままだ・・・
市長のお墓のある場所を 副院長に尋ね・・・ 利川の 天摩山の麓にある  
と 教えてもらい 一度折を見て お参りに行く決心をしていた

利川(イチョン)の市長 アン・チョンドン・・・  それは・・・
セナにとっては 立場上とはいえ 生存から ひとりの人間として位置づけてくれた ” 真 の 父 ” であった
生い立ちが不幸だったとはいえ 周りの損得抜きの愛と 優しさに包まれ 幸運を感じていた
1975~87年の頃は 国内では敬遠されるため アメリカへの孤児の海外入養数が非常に多く
一年間に 5,000~8,000名もの孤児が 海外入養されていた
最近では 年間 2,000名前後に減ってきてはいるが・・・
国内でも 年間 1,000名前後の入養数と以前より増えてきている
セナは 複雑な思いを抱いていた・・・  母国に残れただけでも 倖わせだった・・・
もしも 海外に入養されていたら  ・・
・と考えると 全身に 鳥肌が立った

シン・ウスン副院長の 話はつづいた・・・

「 その後は どの資料をあさっても あなたに関係する材料は一ツも見つからないの 」
そして・・・  「 キーワードは 1981年だわね 」 と 言った
二十数年も前の 出来事だ
しかし 置手紙に書かれていた 内容の検証と 探求 
その筆跡と 指紋しか 他には全く 手がかりは無かった 
だが 考えようによっては 大きな資料・材料で 切り口になる 最大の ヒントでもあった

「 置手紙にあった 1981年前後に 海外へ長期出国した 女性歌手か芸能人を洗い出せば絞れてくる筈よ 」
「 職業を当てにすることが出来るかどうかが 問題では有るけど 海外移民者 就労者 出国者などを対象に気長に 調べていくしか術は残されていないわ でも  必ず辿りつけるわよ 」
「 それとね その10年くらい経ってからなのだけど ロサンゼルスから毎年数回 匿名で膨大な寄付金やプレゼントが送られてくるようになったのよ・・・ 韓国中の孤児院によ これも ちょっと気になるのよ きっと何か特別な事情がある方だと思うの・・・  」

セナの心に 微かな細い糸が見え出して来ていた
後は ソウルに帰って 資料と情報を基に 探偵社に頼んで調べてもらおう・・・
そして 子供達全員にプレゼントを渡し 今日は歌は歌わず 天使の家を後にした

セナのバッグの中には 捨てられていた時に添えられていた手紙が 大切に入れられていた
その頃 ロサンゼルスの ビヴァリーヒルズの邸宅で 
余命一年を 切っているヤン・ギョンヒは
見違えるほどやせ細った体で車椅子に押され  
静かに黄昏の空を眺めていた..


******* そ *** れ ** で *** は **** 創作続編 28話パート( 2 ) * E N D *

  by raymirainya | 2008-12-23 14:31 | 創作続編28-2

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